三宅島の美しい緑

みなさんこんにちは、ライターのまおみです。今回も“リセット&リブート”をキーワードに、三宅島の魅力をお届けします。

前編では「東京宝島」の一つである三宅島の、ダイナミックな火山景観や剥き出しの自然を幅広く紹介してきました。

三宅島のパワーに圧倒された私。島の人々ともふれあっていく中で感じたのは、「雄大で美しい自然と、島民のやさしさや生命力、すべてが繋がってみなぎっているのが三宅島なんだ」ということでした。

そんな三宅島には、その魅力に惹かれ移住を決めた人たちもいます。

後編では三宅島で生きていくことを決めた、新たな世代を担う二名の方にインタビュー。お二人のお仕事やライフスタイルなどから、“リセット&リブート”のヒントを探っていきます。

東京宝島」とは?

東京都の南に位置する11の有人離島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島、父島、母島)の総称。これらの島々には、豊かな自然景観や海洋資源、特産品、歴史・文化などの“宝物”が数多く存在しています。東京都ではこうした“宝物”や隠れた魅力を掘り起こし、一層磨きをかけ、広く発信していくことで、島のブランド化に向けて取り組んでいます。 

明日葉栽培を営む「神戸農園」神戸晴行さん

まずお話を伺ったのは、明日葉(あしたば)を栽培する「神戸農園」の神戸晴行(かんべはるゆき)さんです。

都内で生まれ育った神戸さんですが、なぜ三宅島に移住して明日葉農家を営むことになったのでしょうか。

▼これまでの経歴
神戸晴行さんプロフィール写真

神戸晴行(かんべはるゆき)さん

東京都杉並区出身、平成3年生まれ。
村の長期農業研修を経て2019年の6月に独立。
学生の時に農家でのアルバイトの経験があり農業を好きになるが、卒業後は就職し会社員へ。いつかは農業をやってみたいと考えていたため、休日に貸し菜園を利用したり、地方に援農に行く生活を続ける。
2017年の夏に三宅島で短期の農業研修に参加。そこで出会った人や島での暮らしにすっかり魅了され移住を決める。移住後は村の制度を利用し長期研修生として就農を目指す日々を送り、島で生産されている作物の栽培や管理の実習を一通り行った後、明日葉農家になることを決意。現在は通年で明日葉の販売を行う。

引用:神戸ファーム公式サイト

今回は、神戸さんおすすめの三宅島スポット「伊豆岬(いずみさき) 」でインタビューさせていただきました。

農家になるため島に移住、明日葉栽培を始める

神戸晴行さん インタビュー風景①

まおみ:神戸さんが三宅島に来ることになったきっかけを教えてください。

神戸さん学生の頃から農業のアルバイトやボランティアをしていた経験があり、「ゆくゆくは農業をしたい」と思っていてずっと場所を探していたんです。そんな時に三宅島で農業体験ができると知り、島に来ました。

▲何と合わせてもおいしい明日葉。島内ではうどんにも変身

まおみ:色々な農作物があるなかで、なぜ明日葉の栽培を選ばれたのですか?

神戸さん:他の農作物の栽培も経験しましたが、せっかく島で農業をするならその島の特産品がいいなと思ったんです。明日葉に関しては本当にゼロからのスタートでしたが、今ではとてもかわいい存在になりました(笑)

まおみ:そんなかわいい存在になるまでに、色々な苦労もあったのでは?

あしたばを収穫中の神戸さん
▲広大な明日葉畑。収穫はすべて手作業で行う

神戸さん:明日葉の生産は経費が抑えられるので、ひとりで小規模に行うには最適ですが、畑を一から作ることや収穫をすべて手作業で行うというのは大変でした。機械を使えないのでひとつひとつ、鎌(かま)でカットして収穫しています

まおみ:栽培から収穫まで、すべてをお一人でやられているので大変ですよね…。

神戸さん:基本的に島での農業は本土に比べると条件が良くないので、大変なことも多いかもしれません。でも最近は村の研修制度のおかげで、農業をする人も少しずつ増えてきました。条件は悪いかもしれませんが、自分で切り開いていくことに私はおもしろさを感じます

島で気付いた“自然の流れに身を任せる”ことの大切さ

神戸晴行さん インタビュー風景⑤

まおみ:都内で生まれ育った神戸さんですが、三宅島に来て感じるご自身の変化はありますか?

神戸さん:物事に対する考え方が変わって、自然の流れに身を任せられるようになりました。農業は人間の都合ではうまくいかないことの方が多いので、割り切って物事を考えられるようになりましたね。

神戸さん:小さくても長く続けることを考えると、「今年はあんまりよくなくても、また来年再来年もある」って思えるようになったんです。これから先も人生は続いていくから、身を任せられるところは任せて生きていきたいと思っています

神戸晴行さん インタビュー風景⑥

まおみ:都内でお仕事されているときはそういうマインドではなかった……?

神戸さん:そうですね。毎日忙しかったこともあり、そんな風に思える心の余裕はなかったかもしれないです。島に来てから「人それぞれ色々な考え方があるから、それを受けいれていきたい」って思えるようになりましたね

まおみ:ライフスタイルの変化が心の余裕を生み出してくれたのかもしれないですね。

神戸晴行さん インタビュー風景⑧

神戸さん:島暮らしに対して不便さをイメージする方も多いと思いますが、私自身、今は不便だと感じることがほとんど無くなりました。島に来たばかりの時は、欲しいものがすぐ手に入らないことを少し寂しく感じたりもしましたけどね。「ないならないでなんとかなる」と、今ではそう思えるようになりました

まおみ:便利さと効率のよさばかりを求めてしまう自分には耳の痛いお言葉です…。

神戸さん:日が暮れたらみんな家に帰っちゃいますしね。都内から転勤してきた方はみんな、この生活に驚きます。1日の中で仕事以外の時間もしっかり確保できるので、夜はお酒を飲みに行ったりクラブ活動をしたりと、みんな好きなことを楽しんでいますよ。

インタビュー場所から見える伊豆岬

まおみ:神戸さんが一番好きな三宅島のスポットはどこですか?

神戸さん:たくさんあるんですけど、やっぱりここ(伊豆岬)ですね。取り立てて作ったものじゃなく、自然の借景をそのまま生かしているところが好きです。あそこに見える灯台ひとつとっても、100年以上の歴史がありますからね。この辺は周りに外灯がないので、星を見るのにもオススメのスポットです。三宅島は星もすごくキレイに見えるんですよ

まおみ:山と海だけじゃなくて、星も楽しめるんですね。朝から夜まで一日中大自然を満喫できますね! 

それぞれの良さがあるから、他と比べる必要はない

海と神戸さん

まおみ:神戸さんの三宅島に対する想いを教えていただきたいです。

神戸さん:伊豆諸島の他の島同士で比べられることもあるけど、八丈島には八丈島の、三宅島には三宅島の良さがあるので比べる必要はないと思っています。観光地化されずに残されている手付かずの自然を楽しめるのが、三宅島の良さだと思うんです。

まおみ:私も火山景観や雄大な自然を目の当たりにして、衝撃を受けました。

神戸さん:小さな島なので、大きなことはできないかもしれませんが、未開発の自然が残るこの島を好きになってくれてリピーターの方が増えるのが一番嬉しいですね。少ない人数でもいいので三宅島のファンになってもらえて、またいつか島に来てくれたらいいなと思います。

まおみ:神戸さんは他の島に遊びに行かれることはありますか?

神戸さん:色々な島に遊びに行くんですけど、その度に「やっぱり自分には三宅島が合ってるな」って感じるんです。大きい店もないし選択肢は限られているけど、逆にそこがいいのかなって。

神戸晴行さん インタビュー風景⑯

神戸さん:は最近都内のコンビニに行った時に物が多すぎてパニックになったんです(笑)。選択肢が多くて困ってしまい、結局何も買わずに出ちゃいました。

まおみ:選択肢が多いと結局なにも選べないってこと、確かにあります。物が溢れている=充実ではないのかもしれませんね。都内にはよく戻られるんですか?

神戸さん:仕事やちょっとした用事で内地(都内)に行くことは多いですね。島って交通手段に困ったりすごく遠い場所にあるって思われがちですけど、三宅島は船の出航率も悪くないので都内と島を行ったり来たりの二拠点生活の人も多いんですよ

神戸さん:島では移住者が担ってきたものもあると思うんです。最近はコロナがきっかけで「生き方を変えたい」って思う人が増えたようで、移住の相談も増えているみたいですね。

まおみ:今って多くのものを掴みすぎているせいで、見失っていることがあるのかもしれないですね。私も三宅島でたくさんの自然や人の温かさにふれて、自分を見直すことができました。また絶対に三宅島に来ます!

三宅島自然ガイド「earth wind&」菊地ひとみさん

続いては、前編で様々な自然スポットを案内してくださった、ガイドの菊地ひとみさんにお話を伺いました。

▼これまでの経歴
菊地ひとみさん プロフィール写真

菊地ひとみさん/earth wind &(アースウィンドアンド) 代表

イルカのトレーナーを経て、1999年三宅島で野生イルカのガイドとして働く。
2000年噴火時は地元関西で動物系専門学校で専任教員&非常勤講師として後輩たちの育成に尽力する。
避難解除後、再び三宅島へ帰りたいと思うようになり意を決して2007年完全移住。
三宅島の陸の素材にも魅力を感じ、ネイチャーガイドとして活動し14年目。
現在も古巣の専門学校講師として時々復活。

引用:earth wind &公式サイト

今回は、菊地さんのご主人が経営しているisland style 飲み屋 リターノ」でインタビューさせていただきました。

島に恩返しをすべく、避難解除後に移住を決意

菊地ひとみさん インタビュー風景①

まおみ:菊地さんが三宅島に来たきっかけを教えてください。

菊地さん:最初に島に来たのが1999年です鯨類が好きで、それまではイルカの飼育に関わる仕事をしていました。ですが自分の視野を広げるためにも、彼らが野生にいた頃のあるべき姿を知りたいと思うようになったんです。

菊地さん:そんな時、ダイビング雑誌で野生のイルカが生息している御蔵島(みくらしま)を知りました。「行ってみようかな」と思っていたら、その下に三宅島のダイビングスタッフの募集広告が出ていたんです。それが私が働くことになったショップと三宅島との出会いでした。

菊地ひとみさん インタビュー風景③

まおみ:島に来ての生活はいかがでしたか?

菊地さん:移住して1年間は休みなしで働いていたのでハードだったんですけど、念願のイルカのガイドもさせてもらい、当時23歳の私にとって自分自身の人間としての成長をすごく感じた1年でした

菊地さん:休みを取ろうと一度関西の実家に帰っている時に噴火が起こったんです島にいたスタッフから「まだ様子を見た方がいい。島には当分来ない方がいいよ」と言われているうちに、気付いたら全島避難に突入。帰るに帰れなくて、そのまま地元で動物関係の専門学校の講師として働くことになりました。

菊地さん:全島避難が解除された2005年、テレビで三宅島の報道を見て、とても衝撃を受けました。自分を成長させてくれた島が大変な被害を受けている。日に日に「やっぱり島に帰りたい」という思いが膨れ上がってきたんです。自分を育ててくれた三宅島に恩返しがしたい、そう思い再び島に帰ることにしました

菊地ひとみさん インタビュー風景④

まおみ:帰島を決めるまでに、菊地さんの中でも色々な思いが絡み合っていたんでしょうね。

菊地さん:本当に色んな思いがあるのでうまく言葉にできなくて。避難生活もどの家も壮絶だったそうで…。でもみんなそれを乗り越えて島に帰ってきてるんです帰ってここで事業をやりたいとか、三宅島のために何かしたい!と、島に対する愛や想いを強く持って帰ってきていることはすごく感じます。事情があってどうしても帰れない人たちもたくさんいますし。

まおみ:確かにお話しした島民の方全員、物腰はとても柔らかいんですが、その中に凛とした姿勢を感じました

小さな島だからこその楽しみ方がある

サタドー岬の激しい波の様子
▲波が高くても小さい島なので、違う海にすぐに移動可能◎

まおみ:自然ガイドとしての菊地さんが思う三宅島の魅力は、どういったところですか?

菊地さん:三宅島は釣りやバードウォッチングを楽しめてイルカやクジラも見られるので、多趣味で自然が好きな人には絶対に楽しい島です!大きさも広すぎず狭すぎず、一番遠い場所でも車で25分圏内で移動することができるんですよ

菊地さん:えばグをする時なんかもえることができるのでそこ島の力のひとつですよね。山にも海にも15分圏内で行けるのは、住んでみておもしろいなって感じました

まおみ:その距離感なら1日で両方楽しめそうですね!

伊豆岬付近の地層をガイド中
▲伊豆岬の地層。過去の噴火の歴史が分かる

菊地さん:島にはマニアックなスポットもたくさんあるので、私がガイドをする時はパンフレットに載ってないような場所も案内しているんです。誰でも行けるような場所だけではなく、自分がいることでしか味わえない景色を体験していただきたいと思っています

まおみ:今回初めてガイドさんに案内してもらったのですが、その場所の歴史的背景まで知ることができると、同じものを見ても感じ方がまったく違うんだなと思いました。

菊地さん:ガイドが付いた方が、その場所の奥ゆかしさやストーリーが伝わりますよね。私も他の島に行った時にはガイドさんお願いし、案内してもらうようにしています。自分の勉強にもなるし、他の島ではどういうアプローチでどういったものを見せているのかを知りたいですしね。

まおみ:まだガイドを経験したことがない方には、ぜひ一度体験してもらいたいですね!

視点を変えるだけで日常生活はもっと楽しいものになる

菊地ひとみさん インタビュー風景⑥

まおみ:菊地さは三宅島にれた方にう想いドをていか?

菊地さん:これはearth wind&の理念日常にある当たり前のものって視点を変えるだけですっごく世界が広がるんです例えば、荒れた土地にいち早く根付く“ハチジョウイタドリ”。都内では雑草だと思われていますが、三宅島では食用として昔から食べられている野草であり、島の緑化に欠かせない存在なんです

「火山体験遊歩道」のハチジョウイタドリとススキ
▲先駆植物と呼ばれ生命力が強い“ハチジョウイタドリ”

菊地さん:そんな話を聞くと不思議とイタドリの見え方が変わってきて、“ただの雑草”っていう存在からランクが上がると思うんです。そうなると、道端を歩いている時に無意識に雑草を見るようになったり、他の野草の存在も気になったり…。

まおみ:確かに、私は島に来るまで存在すら知らなかったのですが、菊地さんのガイドでイタドリが三宅島の緑化に欠かせない存在だと聞いてから、無意識に目がいくようになりました。

菊地ひとみさん インタビュー風景⑦

菊地さん:そうなんですよね。分の日常生活の視野を広げることができればライフスタイルはもっと楽しいものになって、今まで以上にワクワクであふれた人生を送れると思うんです。「三宅島に来なかったら気付けなかったことに、気付けるようになった!」って、そういうきっかけ作りの旅になれたらいいな…という想いでガイドをしています。

まおみ:つい大きいことばかりに目が行きがちですが、見落としているだけで、実は身近なところにもワクワクってあふれているのかもしれないですね。

菊地さん:どんなことでも考え方や視点を変えるだけで見え方って変わると思うんです。三宅島に来た経験を通してそのことに気付いてもらえたら嬉しいですね。心が豊かになる日常生活のきっかけ作りをすることは、earth wind&の理念でもあるので。

菊地ひとみさん インタビュー風景⑧

まおみ:自分の心がけ次第で、同じものでも違って見えてくるんですね。

菊地さん:伊豆諸島の別の島に行った時に三宅島で見たものと比較すると、「同じものでも島が変わるとこんなに違うんだ」ってびっくりすると思います。そうすると、みなさんどんどんアイランドホリックになっていきますよ(笑)。

まおみ:気付くもきっとありますよね。

菊地ひとみさん インタビュー風景⑨

菊地さん:だからいつも「ぜひ伊豆諸島の他の島にも足を運んでみてください」って宣伝するんです。どの島もみんな個性的で本当におもしろいですよ。海洋に囲まれた場所なので、定期船がなかった頃は孤立した1つの王国みたいな立ち位置だったこともあり、近隣の島でも文化も風習も方言も全然違うんです。でもやっぱり、みんなあったかいんですよね

まおみ:本当に島で出会ったみなさん、優しくてあったかかったです。

菊地さん:絶景を見る、行きたかったカフェに行く、島に来る入り口はそういうところかもしれませんが、そこで出会った人に会いに行くっていうのが結局リピーターに繋がると思うんです三宅島に通ってくれる方は、きっと人と人との繋がりの心地良さに惹かれたのかなと感じています

生い茂る三宅島の自然
▲日本とは思えない大自然が広がる三宅島

菊地さん:三宅島は利便性もちょっと低いしおしゃれなお店もめずらしいくらいなで、そういう面では他の島と同じ土俵には立てないですけど…。でもここには想像を上回る素晴らしい絶景があります物との距離がごくいですし、噴火後は巨樹(きょじゅ)が多いっていう発見があったり、火口にも行けるようになったり、最近ではクジラまで来るようになって、三宅島にもどんどん新しい素材が増えてきました。

まおみ:三宅島は常に進化を続けているんですね。

菊地さん:だからもう多分、内地には住めないです(笑)。内地で3泊くらいすると、「もう島に帰りたい」っていつも思うんです。帰ってきて船から降りた時に感じる、この多湿な感じや海の香り、ちょっと布団が湿っていることでさえ、もうほっとします。

一度きりの人生をカラフルに生きるということ

 菊地ひとみさん インタビュー風景⑫

まおみ:earth wind&の理念である“人生という名の旅に彩りを”には、菊地さんのどういった願いが込められているんでしょうか?

菊地さん:1回しかない人生でライフスタイルをどうカラフルにしていく、っていうことを伝えたかったんです。私が全島避難の解除後に戻って来たのは「三宅島に召された」という想いがあって。「自分を成長させてくれた島に恩返しをしたい」という想いが、今の人と自然と繋ぐガイドの仕事や保全活動、環境教育に繋がっています。

菊地さん:活動を行う中で、「どうせだったら、カラフルで生き生きと輝いた人生を過ごしていきたい」と考えるようになりました。今まで1を見て5しか知らなかったことでも、角度を変えてみると10の気付きを得られるようになるんです。発想の多様さは心を豊かにしていくので、生活の中で楽しみがどんどん増えていきます。それを自分なりの表現方法で伝えていき、「自分もカラフルな人生を過ごしたい!」と色々な人に思ってもらいたいですね。

菊地ひとみさん インタビュー風景⑭

まおみ:これから先の人生に彩りを与えるために、菊地さんご自身が描いている今後のビジョンは何かありますか?

菊地さん:島の子どもたちが三宅島の産業に従事して帰ってきてくれる仕組みを作りたいと思っています。環境教育もですけど、島の子どもたちがネイチャーガイドをしてくれるまで私はこの仕事をやり続けようと思っていて。そのために、小学校の授業に呼んで頂いたり、ガイドの活動を行っているんです。

まおみ:島育ちならではの視点で、三宅島の魅力を色々な方に伝えてもらいたいですよね。

菊地さん:長い目で見なきゃいけないんですけど、三宅島に帰ってきてネイチャーガイドをやりたいっていう島っ子が現れるまでは、50歳60歳になっても頑張ります。みなさんもぜひ、人生という名の旅に彩りを添えてくださいね!

まとめ

前編・後編にわたり、三宅島の自然と人の魅力をお届けしました。特に今回移住者の方のお話を聞いたことで、自分自身の価値観も大きく変化したように思います。

三宅島に行ってからの私は、鳥の鳴き声を意識的に聞くようになり、道端に咲いている小さな花にも目がいくようになりました。見方次第で日常生活はまだまだ新しい発見であふれているんだと気付くことができたんです

この島には誰一人として、「不便」という言葉で生活を語る人はいません。「無いなら無いでなんとかなる」という島の方の考え方を知って、「もっと肩の力を抜いて生きていこう」と気持ちが楽になり、火山とともに三宅島で暮らす人々の“心の強さ”を知ることができました。

心のリセットと、己をリブートさせる奮い立つようなパワーを同時に与えてくれる三宅島。あなたもぜひ三宅島で、自分を振り返る時間を過ごしてみては。

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《執筆:まおみ/撮影・編集:ゆかりごはん》

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