東京と聞くと、高層ビルや多くの人で賑わう街を想像する方が多いと思いますが、静かでゆっくりとした時間が流れる場所もあることを知っていますか?
それは伊豆諸島や小笠原諸島に広がる離島たちです。
船や飛行機で行く、人々が暮らす11の島を総称して「東京宝島」と呼びます。
「東京宝島」とは?
東京都の南に位置する11の有人離島(大島、利島、新島、式根島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島、父島、母島)の総称。これらの島々には、豊かな自然景観や海洋資源、特産品、歴史・文化などの“宝物”が数多く存在しています。東京都ではこうした“宝物”や隠れた魅力を掘り起こし、一層磨きをかけ、広く発信していくことで、島のブランド化に向けて取り組んでいます。
今回は、その島の中からサーフィンの聖地として有名な新島(にいじま)を、2記事にわたって紹介していきます!
新島にはびっくりするほど美しい海を見られる絶景や、ギリシャのパルテノン神殿のような温泉など、ここでしか見られないスポットが多くあります。
さらに渋谷駅でお馴染みのモヤイ像とも、意外な関係性が…?!
もちろん、島ならではのグルメもお見せしていきますよ~!
レポーターは東京ルッチ・編集部のかきのるいです。
新島を旅しているような気分で読んでみてくださいね!
目次
新島について知ろう
出典:新島観光協会
新島へのアクセス方法は、船と飛行機の2つです。
JR浜松町駅から徒歩約8分、ゆりかもめ竹芝駅より徒歩約1分の「竹芝客船ターミナル」から出る船で行くことができます。
ジェット船で約2時間20分、大型客船では8時間30分の船の旅を楽しむことができ、旅行にもぴったりです。
調布飛行場から出る飛行機では35分で到着するなど、離島とは言え行きやすさも抜群。もちろん、行きと帰りで交通手段を変えてもOKです!
飛行機からは江の島を上空から見ることができたり、天気が良ければ富士山を眺めることもできます。
関東の街並みがジオラマに見える、不思議な感覚を味わいながら、約35分間のフライトを楽しみましょう!
新島は東京と比べるとやや温暖で、1年通して過ごしやすい気候です。
夏には海風が気持ちよく、マリンスポーツが盛んで、夏にはサーフィンやボディボードをしに来た多くの人で賑わいます。
島民の方はオープンマインドで、安心して観光ができることも特徴です。
美しい海や明るい島の雰囲気は、何度でも新島に足を運びたくなるような中毒性があります!
新島で採れる「コーガ石」とは?
新島では「コーガ石」という変わった資源が採れます。
「コーガ石」とは、噴火によって噴き出した溶岩が固まってできた火成岩で、新島とイタリアのリパリ島でしか採れません。
世界的にとても貴重な資源ですが、新島ではこのコーガ石で家や倉庫を建てたりして、生活に根差しているんです。
耐熱性や耐火性が優れており、他の石よりも軽く柔らかいため、人が運ぶのに適していたと考えられます。
柔らかい素材のコーガ石は、彫って作品にすることにも長けています。
新島生まれの彫刻家、大後友市(だいご ゆういち)さんが昭和50年前半に新島を盛り上げるため、モヤイ像を生み出したのです。
「モヤイ像を掘りに来れば民宿代3日間無料」と宣伝したところ、新島にモヤイ像が増えていったという歴史があります。
渋谷のモヤイ像は新島から贈られたもので、大きなコーガ石をあの渋谷の場所に持ってきて彫ったというのだから驚きです。
贈ったのはモヤイ像の生みの親、大後友市さん。
「モヤイ」とは新島の言葉で「助け合う、協力し合う」という意味があり、新島のオープンマインドの精神にも繋がるものがあります。
新島のモヤイ像を探せ!スポット巡りに出発
新島の全体図はこのようになっています。
街中の移動は徒歩でも十分ですが、展望台や海岸に行くならレンタカーがおすすめです。
では、早速新島を巡っていきましょう!!
最高の景色を堪能!写真を撮るならココ
羽伏浦海岸
新島イチのフォトスポットとしても知られる「羽伏浦海岸」。
ここはサーフィンをする人の憧れの地でもあり、後ろの白いモニュメントはサーフィンの大会で表彰台としても使われています。
周りでは子どもたちがスケートボードで遊んでいました。
天気の良い日はこんな写真も撮れます!青と白の色合いが爽やかな、思い出に残る1枚になりますよ。
表彰台の階段部分を使った写真で、子どもたちがここを駆け上っていたのをヒントに撮影しました。
羽伏浦海岸の近くに何かを見上げるモヤイ像がいたので、一緒に何かを見上げておきました。
砂んごいの道
コーガ石の塀で囲まれた「砂んごい(すなんごい)の道」は、青空とコーガ石のコントラストが美しい、住宅が集まる場所にある道です。
どこか懐かしいような、ノスタルジックな雰囲気に浸れます。
街中の道は狭めで、すれ違う人たちがみんな挨拶や立ち話をして通り過ぎていくのが印象的でした。
前浜海岸通り
船着き場の近くの開けた道は「前浜海岸通り」。
「ミルキーブルー」と呼ばれる海の青さを横目に、自転車や車でドライブをすると気持ちいいですよ!
船で来た人はこのモヤイ像が記念すべき、第一号になることが多いのではないでしょうか!
見つけた瞬間、感動して一目散に走って向かいました。
まました海岸 希望の丘
間々下(まました)海岸と呼ばれる場所には「希望の丘」という、コーガ石でつくられた作品が集合しているスポットがあります。
希望の丘とつながっている「夕日の丘」は、夕日が綺麗に見える場所です。コーガ石でできた屋根とイスで、夕日を眺めながら一休みできます。
撮影の前日は雨が降っていたのですが、運よく「夕日の丘」で撮れた写真がコチラです。
雨の恵みがこのような形で、一味違う楽しみ方も提案してくれました!
カメの形をしたコーガ石を発見!この角度で撮ると新島の海と自然のコントラストを1枚に収められます。
新島の美しさを身体いっぱいに感じられる場所です!
ボロ桟橋
波の動きを間近で見ることができる「ボロ桟橋」は前浜海岸通りを進んだ先に見えます。
下をくぐれば大迫力の海を独り占めしている気分!新島の海を全身で感じられるスポットのひとつです。
白ママ断崖と秘密の道
新島に飛行機で来た際に、窓から見えるのが「白ママ断崖」。右の白い壁は火山灰でできている崖です。
「白ママ」の「ママ」とは新島の方言で「崖」を意味します。
この崖はとても柔らかく崩れてくることもありますので、訪れる際には注意が必要です。
十分気を付けて行けば、プライベートビーチを連想させる誰もいない海を見ることができるんですよ!
白ママ断崖に行くまでには秘密の道を辿ってこなければなりません。
「シークレット入口」という場所(地図にも載っています)から歩いて、細い道を抜ければ青い海と白い断崖の壮大な眺めを体験できます!
シークレット入口の小道はデコボコしているので、運動靴などの歩きやすい靴で向かうのがおすすめです。
石山展望台
「石山展望台」は間々下海岸沿いから行ける展望台で、お隣の「式根島」や「神津島」まで眺めることができます。
中には入れませんが、途中にコーガ石の採掘場があり入口からコーガ石が詰まれた様子を見ることができます。
富士見峠展望台
新島の街並みを望める「富士見峠展望台」は、石山展望台とは違った景色を楽しむことができます。
曲がりくねった道を登るため少し大変ですが、その分登り切った目の前に広がる景色と達成感は、何にも代えがたいものです。
新島観光を楽しむならココ
HOSTEL NABLA
夜には島の住民の方が集まることもある「HOSTEL NABLA」は、元々民宿だったコーガ石の建物をリノベーションしたおしゃれなホステルです。
島民の方々は知り合い同士なので、ホステルの店員さんに会いにふらっと顔を出すこともあり、新島のオープンマインドを直に見ることができるかも!
ダイニングにはスクリーンが完備されており、スポーツ観戦などを島の方たちと混ざって楽しむこともありますよ。
コーガ石で囲われた廊下の先に共同の洗面台があります。
青と白を基調とした内装は清潔感があり、共同スペースが多くても不自由なくリラックスできますよ。
1階の奥に男性専用のベッドルームがあり、2階部分には個室と女性専用室があります。
ベッドは分厚いカーテンで仕切られており、枕元にはコンセントとランプがあります。
足元にはパソコンも入るような大き目の貴重品ロッカーがあるので安心ですね。
個室は2~4名で泊まれるので、家族や友達同士の旅行で利用してみてください。
HOSTEL NABLA | |
料金 | ドミトリー6,000円(税込)/個室1名7,000円(税込) |
チェックイン | 15:00~17:00 |
電話番号 | 04992-5-0376 |
住所 | 東京都新島村本村6-3-1 |
地図 | Googleマップ |
アクセス | 新島港・新島空港から徒歩20分 |
公式サイト | HOSTEL NABLA |
十三社神社
「十三社神社(じゅうさんしゃじんじゃ)」は13の神様が祀られている神社で、鳥居の場所は小学校の目の前!
伊豆諸島では最大規模の境内と神域を誇り、参道ではコーガ石の塀や境内社を見ることができます。
参道の奥のお参りをする拝殿の周りには、ソテツという新島ではよく見られる植物があります。
神社の厳かな佇まいと、南国の雰囲気が混ざり合い、ここでしか感じられない空気感です。
十三社神社 | |
住所 | 東京都新島村本村2-6-13 |
地図 | Googleマップ |
アクセス | 新島港から徒歩35分/車で5分 |
石の動物園
コーガ石で作られた動物たちが30体以上いる「石の動物園」。
キャンプ場が併設されていて、シーズンには多くの人で賑わいます。
アザラシやラクダ、カバなどたくさんの動物たちが点々と公園内にいます。
ぜひ触ってみてコーガ石の触感を体感してみてくださいね。
顔はめパネルのようなコーガ石のサルまで!
記念に1枚撮っておきましょう。
石の動物園 | |
住所 | 東京都新島村檜山1-1 |
地図 | Googleマップ |
アクセス | 新島港から徒歩46分/車で6分 |
新島親水公園
一休みもできる「新島親水公園」は、石と水がテーマです。
レストハウスが併設されていて、遅めのランチやお散歩の際の一休みにぴったりですよ。
自然の力を借りて、まるで壮大なRPGのメインビジュアルのような写真を撮ることもできます!
草木や水の色味が綺麗で、どこを切り取っても絵画のような公園なので、こちらも撮影スポットとしておすすめです。
新島親水公園 | |
住所 | 東京都新島村本村1-1-1 |
地図 | Googleマップ |
アクセス | 新島港から徒歩23分/車で4分 |
新島ガラスアートセンター
この綺麗なガラス玉、何でできていると思いますか?実はコーガ石なんです!
コーガ石を1400度の熱で溶かしてできたアート作品で、作品の数々は「新島ガラスアートセンター」で見ることができます。
このガラスのことを「新島ガラス」と呼び、優しいオリーブ色が特徴的で、お土産などに人気です。
こちらはコーガ石でできた屋根が目印の、ガラスアートセンターの入口です。
ネックレスなどのアクセサリーやグラスなどを販売しています。
新島ガラスアートセンター | |
料金 | 無料 |
営業時間 | 10:00~16:30 |
定休日 | 火曜日、年末年始 |
電話番号 | 04992-5-1540 |
住所 | 東京都新島村間々下海岸通り |
地図 | Googleマップ |
アクセス | 新島港から徒歩11分/車で2分 |
公式サイト | 新島ガラスアートセンター |
新島村博物館
「新島村博物館」には、新島ができた歴史や人々がどんな暮らしをしてきたかが知れる資料が多く展示されています。
郷土芸能や文化、モヤイ像マップや作品のサーフボードなどが博物館の1階から2階までずらり。
野外展示にはコーガ石でつくられた倉庫「コーガ石造り石倉」や、ススキなどを材料に作った民家の「茅葺き古民家」の展示があります。
茅葺き古民家の中には実際に入ることができ、囲炉裏などを囲んで写真を撮ることも可能です。
新島村博物館 | |
料金 | 大人300円(税込)、子供150円(税込) |
営業時間 | 9:00~17:00 |
定休日 | 月曜日 |
電話番号 | 04992-5-7070 |
住所 | 東京都新島村本村2-36-3 |
地図 | Googleマップ |
アクセス | 新島港から徒歩37分/車で5分 |
公式サイト | 新島村博物館(新島観光協会HP) |
湯の浜露天温泉
「希望の丘」を下ると見える「湯の浜露天温泉」は、無料で入れる温泉です。
水着を着用して入る混浴なので、家族連れでもゆっくりできます。
島の住民の方々の憩いの場であり、観光客の方も温泉に浸かってその日の思い出を語らうのに最適な場所です。
24時間開放しているので、夜には星を見上げながら温泉に浸かることができます。
コーガ石でできた「湯の浜露天温泉」は、新島に行ったら必見ですよ!
湯の浜露天温泉 | |
住所 | 東京都新島村 |
地図 | Googleマップ |
アクセス | 新島港から徒歩5分/車で1分 |
まました温泉
「湯の浜露天温泉」とは別に、サウナなどが楽しめる「まました温泉」も人気です。
絶景を眺められる露天風呂で身体を温めたあとは、砂風呂に入ってみましょう!
「まました温泉」の砂風呂は羽伏浦海岸の白砂を温泉であたためた、唯一無二のものです。
砂風呂では汗を大量にかけます。心も身体もこちらでデトックスされてみてはいかがでしょうか。
まました温泉 | |
料金 | 入浴料300円(税込)/砂風呂700円(税込) |
営業時間 | 温泉13:00~21:30 砂風呂13:00~20:00 |
定休日 | 水曜日 |
電話番号 | 04992-5-0830 |
住所 | 東京都新島村瀬戸山 |
地図 | Googleマップ |
アクセス | 新島港から徒歩11分/車で2分 |
公式サイト | まました温泉(新島観光協会HP) |
数えきれないほどのモヤイ像と出会える!
新島内に100種類以上いると言われるモヤイ像。
点々とモヤイ像がいるというよりは、モヤイ像が集合しているエリアがいくつかあるような認識です。
せっかくなので写真をたくさん撮って思い出を作りましょう。
前浜エリアのモヤイ像
個性派ぞろいの前浜エリアのモヤイ達です。
写真を撮る際のおすすめは「同じ顔」や「同じポーズ」で撮ること!
希望の丘・夕日の丘エリアには彫刻作品が!
コーガ石で彫られているのはモヤイ像だけではありません。
人の顔のような像ではなく、ユニークな形のアート作品がいっぱい!
ぜひお気に入りのモヤイ像やアートを島内で見つけてみてくださいね。
新島おすすめグルメ|これを食べれば間違いなし
旅行に来たら外せないグルメ!新島にも、美味しくてついお酒がすすんでしまうような郷土料理が多くあります。
ぜひ、チェックしてくださいね。
居酒屋メニューは魚メイン!
くさやは伊豆諸島でも食べられるところが多いですが、実は新島が発祥です。
そもそもくさやとは「くさや汁」に10時間以上漬けこんだ干物で、魚醤のような強いにおいが特徴。
こちらは新島のくさやを使った「くさやピザ」です。
上には島海苔が散りばめられていて、塩味とくさやの独特な味わいを楽しめます。
くさやの干物を置いているお店も多くあり、食べやすいスティックタイプのくさやは、そのまま食べられるのでお土産に買っていく人も!
珍しい「金目鯛のねぎ間 」や「たたき揚げ」などはお酒のおつまみにぴったりです!
たたきとは、魚のすり身に生姜や大葉などの薬味で味付けをした新島の郷土料理でお土産にも人気があります。
「たたき揚げ」は味がしっかりついているため、醤油などをつけなくても十分美味しくいただけるのです!
たっぷりのねぎとろを海苔で巻き、天ぷらにした「ねぎとろ天ぷら」。
周りの衣はサクッとしており、中はしっかりレアなねぎとろで完璧な火入れ加減に感動します!
明日葉は諸島の名物で新島にももちろんありますが、こちらは明日葉を茎ごとちくわに挿して天ぷらにした「明日葉ちくわ天ぷら」です。
ほんのりと香る苦味が特徴の明日葉。茎の部分はより明日葉の味を感じられます。
繊維っぽさはなく、ちょうどよく明日葉が油を吸っているので、サクッとして食感もやみつきになりますよ!
各居酒屋で食べられる島寿司
新島の様々なお店でいただける「島寿司」は、マダイやカンパチなどの魚を醤油ベースのタレに漬けて酢飯で握った郷土料理です。
ワサビではなくカラシが上にのっているのも普通のお寿司とは違うところ。
タレに新島の名産の島唐辛子を使うことで甘めのタレが引き立ち、より魚の旨味を感じられます!
観光スポットを地図で見てみよう
青⇒絶景スポット
緑⇒観光名所
オレンジ⇒温泉
赤⇒宿泊施設
まとめ
いかがでしたか?
新島には巡るべきスポットやグルメ、そしてモヤイ像がたくさんあり、夏以外でも楽しめる島でした。
写真を撮ったり海で黄昏てみたりと気持ちのいい景色に溶け込んで、普段の生活からは考えられない経験ができます。
では、実際に新島で過ごしている方たちはどんな生活を送っているのでしょうか?
次の記事では、新島に移住してきた方々にインタビューをし、新島での暮らしを伺った模様をお届けしていきます!