※コロナ禍の影響により、営業時間などが変更されている可能性があります。詳細は公式サイトや窓口でご確認ください
東京に住んでいるメリット。それは寄席があるということ…!
みなさん「寄席」といえば、なんとなく落語を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?寄席は江戸時代から数百年も続く文化で、21世紀の今でも手軽に触れられるのは貴重なことなんです!!
そうはいっても、落語って興味あるけど「どこから入ったらいいかわからない」「なんだか作法が厳しそう」と踏み出せない方も多いはず。そこで今回は、落語オタクである私ツバキングが、寄席の楽しさを全力で皆さんにお届けします!
落語はおじいちゃんの影響で幼少期から聞いてます!よかったらこの記事を、落語を楽しむ1歩目にしてみてください!
目次
個性派揃い!東京の4つの寄席を紹介
落語を1番近くで見られる「池袋演芸場」
池袋駅北口から徒歩1分の場所にあるのが、「池袋演芸場」です。
1階の窓口でチケットを購入したら、地下に入っていく作りになっているので、初めての方は少し緊張するかもしれません。
しかし、勇気を出して踏み込めば、そこは4軒の寄席の中でも最も落語家さんの息吹を感じられる場所。
なぜなら、池袋演芸場は寄席の中で最も座席数が少なく、わずか93席しかないんです。
学校の視聴覚室よりちょっと広いくらいのイメージです。
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舞台の中央にマイクはありますが、ほとんど生声で落語が聴けるのです。
他にも、着物が擦れる音や扇子を開く音など、東京でもっとも生々しく落語を聴ける寄席が「池袋演芸場」でしょう。
さらに、私ツバキング個人的には出演者の好みも1番合うのが、この池袋演芸場!
各寄席は席亭(せきてい)と呼ばれる寄席の主人が、各協会と話し合いながら出演者を決めていくため、それぞれの寄席の出演する面々には、席亭の好みが色濃く反映されます。
ここ、池袋演芸場は、私ツバキング好みの「基礎がしっかりしていながら現代の感覚を持った落語家さん」の出演が多いのです。
例えば、柳家喬太郎さんや桃月庵白酒さんはオススメ!
落語のリアルを感じたい方は池袋演芸場へ!
ドラマや映画の舞台にもなった「新宿末廣亭」
新宿三丁目駅から徒歩1分の場所にある「末廣亭」は、新宿の飲み屋街のなかで、歴史を感じさせる木造の佇まいで存在感を放っています。
新宿区で最初の地域文化財にも選ばれた建物はレトロ感満点!
今回ご紹介する4軒のなかで唯一の木造建築ですので、昔ながらの雰囲気を味わいたい方は末廣亭がオススメ。
溢れ出すレトロな風情は、ドラマ「タイガー&ドラゴン」や、アニメ映画「昭和元禄落語心中」の舞台のモデルにもなっています。
座席は、一階中央にイスが並ぶ他、両脇には畳の桟敷席も。
靴を脱いで畳にゆっくり座って落語を見ると、まさに「江戸の風」を感じることができるかもしれません。
さらに、寄席は15分ほどで出演者がどんどん入れ替わっていくので、少し物足りなくもありますが、逆に言えばお気に入りを見つけるのには最適!
寄席で見つけたお気に入りの芸人さんを、大きなホールに見にいくのも落語ファンの楽しみ方!
他の寄席では、昼の部の数時間と夜の部の数時間を、2,000円〜3,000円で見られます。
それぞれ10組ほどの芸人さんが見られるということを考えれば、信じられないくらいのハイコスパ!
しかし、末廣亭はほとんどの日で「昼夜入替なし」を実施しています!
つまり、1日8時間近く、20組にも上る芸人さんを見られる、コスパ最強の寄席と言えるでしょう!
一回の観覧で、たくさんの芸人さんを見られるので、お気に入りを見つけるには最適の寄席なのです!
ゆったりお酒を飲みながら「鈴本演芸場」
続いて紹介するのは、東京メトロ銀座線上野広小路駅から徒歩1分の場所にある「鈴本演芸場」。
「おうち時間」が増えて、動画サイトでお笑い動画を見ながら、ユル〜っとお酒を飲むのが趣味という方も増えたはず。
鈴本演芸場はそんな方にこそオススメの寄席です!!
まず、開業150年という最も長い歴史を持つ寄席ながら建物は比較的新しく、場内はコンサートホールのようにゆったりしたイスが並ぶ広い空間になっています。
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しかも、各寄席の中でも浅草演芸ホールと、ここ鈴本演芸場はアルコールを飲みながらの観覧がOK。
広いスペースにゆったり座って、お酒を傾けながら落語を見るなんて、これほどの贅沢があるでしょうか!
そして、「落語って敷居が高そう」と思って踏み出せないでいる方にも、鈴本演芸場がオススメ!
なぜなら、ももいろクローバーZが出演したり、ナオト・インティライミのPVが撮影されたり、ユニクロとコラボTシャツを出したりと、落語以外の現代カルチャーにも積極的に溶け込んでいるのが鈴本演芸場だからです!
ここ鈴本演芸場は、もっとも気軽に気楽に、落語を見られる寄席だと言っていいでしょう!
スターが集まる「浅草演芸ホール」
「落語といえば浅草」というイベージは、多くの方が持っているのではないでしょうか。
そんなイメージの中心にあるのが「浅草演芸ホール」。
お正月のお笑い特番などで、この外観に見覚えのある方も多いはず!
つまりここに来ると「落語見に来たな〜!」という気分にどっぷり浸れます!
そして、浅草演芸ホールはミーハーな方にオススメ!
ナイツやU字工事、笑点メンバーなど、テレビでおなじみの面々が多く出演しているのも特徴だからです。
こちらも、鈴本演芸場同様、お酒を飲みながらの観覧が可能なので、お酒でゆるくなった脳みそを、楽しい落語でくすぐってもらうのもいいでしょう。
浅草演芸ホールに向かう前後も、周辺は昭和の芸人さんの手形や写真、行きつけのお店が見られ、観光としての落語鑑賞には最適な寄席です!
実は4つだけじゃない!寄席の違いとは
「東京には寄席が4軒ある」とはよく言われますが、実はググってみるともっとたくさんの寄席が出てきます。
これは、「常設の寄席(劇場)」として4軒、その他東京各所でイベントとしての寄席も開催されているからなんです。
東京の落語家さんは、そのほとんどが落語協会か落語芸術協会に所属しています。この2団体に所属する落語家さんが出演できるのが、先ほど紹介した都内にある4軒の寄席。
異端児と呼ばれたカリスマ落語家である立川談志さんが立ち上げた立川流の落語家さんは、このふたつの協会員ではないため4軒の寄席には出られません。
テレビでもおなじみ、立川志らくさんや立川談春さんなども立川流です!
また、日本テレビの長寿番組「笑点」の司会を務めた先代の三遊亭円楽さんが立ち上げた円楽一門の落語家さんも同様です。
笑点で紫色の着物でおなじみ、現在の三遊亭円楽さんも円楽一門!
こうした4軒の寄席に出られない落語家さんは、それ以外の舞台や落語イベント(これも含めて「寄席」と呼ぶことがある)に出演し、落語を披露しているのです。そちらもとても楽しいのでおすすめですよ。
ちなみに上野にある「鈴本演芸場」には、落語芸術協会所属の落語家は出演できません。4つの寄席の中だけでも出演についての細かいルールがあるようです。
行く前に予習!寄席ってどんな場所?
有名人も出演!多ジャンルのプログラムが楽しめる
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「寄席」と聞くと落語を見にいく場所というイメージが強いかもしれません。
しかし、寄席には落語の合間に、漫才や手品、曲芸や小唄などといったバラエティに富んだエンタメが組み込まれています!
そんな出演陣の中にはすでにご紹介の通り、ナイツやU字工事など、テレビでおなじみのメンバーも。
テレビでの漫才は3〜5分ですが、寄席は15分ほどの出番時間があるので、見たことのあるネタでもテレビではやらない部分まで見られるのでおトク!
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他には、最近バラエティ番組にひっぱりダコの講談師・神田伯山が、真打昇進(メジャーデビューみたいなもの)の際には、新宿末廣亭や浅草演芸ホールを巡ってお披露目をしました!
大きなホールなどでの落語会では、数人の落語家さんが出てるというプログラムがほとんどですが、寄席はさまざまなジャンルの芸人さんがどんどん出てくるので、お気に入りの芸人さんを見つけるには最適です!
私がオススメする落語家以外の芸人さんは、三増紋之助さんという方。曲独楽という超絶技の独楽回しを見せてくれる芸人さんなので、普通は「おー!」っとなるはずが、会場はいつも爆笑!
超絶技の独楽回しを見せながら、どう爆笑をとるのかは文章では伝わらない!是非、寄席へ見にいってください!
20~30代の若いお客さんもいる
私が寄席に通い始めた頃は、落語は「老後の楽しみ」のように思われていたのか、40代以上(しかも70〜80代の方が中心)が多かったように思います。
しかし、ドラマ「タイガー&ドラゴン」やアニメ「昭和元禄落語心中」で、落語の世界が若い人にも知られていくにつれ、20代や30代と思われるお客さんの姿を寄席で見かけるようになりました!
それでも「落語は難しい」と思っている若い方もまだまだ多いのも事実。
ですが、実は落語って難しくないんです。力を抜いて笑えるのが落語!
漫才やコントであれば、各芸人さんが考えたネタを披露するため、初めて聞くネタやストーリーを終えていないと、笑いどころがわからなくなってしまいます。
しかし落語は、江戸時代や明治時代に作られた演目を、いろんな落語家さんが演るのです。
なので、知っているストーリーのネタなら、少しくらい気を抜いていてもどんな話が展開されているか、わかるのです!
また、同じネタをいろいろな芸人さんが演るので、ネタのどの部分をアレンジしたのか、演じ方の違いに、個性が際立つのも落語の特徴!
私が、個人的に好きなネタは「あたま山」「粗忽長屋」「転失気」などのバカバカしいもの!
予習として、それぞれのネタのストーリーをググってから行くのもオススメです!
安い料金で365日観られる!
また、寄席は「毎日やっている」というのも特徴!
平日も土日の問わず、大晦日以外(浅草演芸ホールは大晦日も!)毎日毎日開かれています!
つまり、急に予定が空いた日やなんとなくの思いつきで出かければ、楽しい落語や漫才などが「いつでも」見られるのです!
料金はおおよそ2500〜3000円。
多くの寄席は「昼の部」「夜の部」の2部制になっており、それぞれ3〜4時間で10組ほどの芸人さんが登場します。
1組あたり、300円程度で見られるのはものすごいお得!
さらに、寄席によっては着物や浴衣で来場すれば割引を受けられたり、夜の時間帯であればやすきなったりと、お得なサービスもあるので、詳しくは各寄席のホームページをチェック!
また、寄席や日程によっては、同じ値段で昼夜ぶっ通しで見られる場合もあります。
そうなると、一日中まさに「演芸三昧」に浸って、3000円程度で済むという、ものすごいリーズナブルさ!
予約不要!チケットは当日券がほとんど
何かの公演を見に行くとなれば、前売り券を予約してとお考えになる方が多いと思います。
けれども、寄席は予約不要!!
チケットは当日券がほとんどで、思い立ったが吉日で寄席に出かければ、すぐに観覧することができるのです!
季節ごとの特別なイベントや昇進記念興行など、中には前売り券が発売されることもありますので、詳細は各寄席のホームページなどをチェック!
知っておこう!寄席のマナー
飲食は基本OK
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はじめから終わりまでいれば数時間、昼夜入替なしの公園ならば一日中過ごせる寄席。
その楽しみを彩る方法のひとつが、美味しいものをつまみながらの観覧です。
原則として、どの寄席も飲食は禁止していませんし、売店ではお弁当や飲み物も販売されています。さらに、鈴本演芸場と浅草演芸ホールではお酒を飲みながらの観覧も可能なんです!
お酒を飲みながら、スマホでお笑い動画をダラダラ見るのが好きなあなた!それを生で体験できるのが寄席ですよ!
風情を楽しみたいなら、いなり寿司や助六をつまみながらが良いでしょう。
しかし、それ以上に私ツバキングがオススメするのは近隣のお店で美味しいものを買って寄席に向かうというもの!寄席はなんと、飲食物の持ち込みがOKなのです!
どの寄席も繁華街の中にあるので、テイクアウトのできる美味しいお店が近くにあるはずです!
とはいえ、客席には周囲のお客さんもいるので、音の出るものや匂いの強いものは避けたほうがいいでしょう。
あと、泥酔して周りの人に迷惑をかけたり、出演者にヤジを飛ばしたりしないようにも注意!
鈴本演芸場のホームページでは、席亭(寄席の主人)が独断と偏見で、周辺の美味しいお店を紹介しているので、そちらも是非ご参考に!
途中退出は演目の切れ場で
長丁場の寄席。途中からしか見られないという方や、途中退出しなくてはいけないという方もいらっしゃるでしょう。
寄席は、途中入場や途中退出も可能です!
しかも、1組あたりの出番が15分程度なので、映画や舞台のように「途中からだったから終わりまで内容がわからなかった」と言ったことはありませんのでご安心を!
途中で出入りする際は、演者の入替のタイミングにすれば、落語や漫才を楽しんでいる他のお客さんや演者の邪魔にならずに済みますね!
また、そのタイミングで着席するのに手間取ってしまっても心配はいりません。
前座さん(修行中の落語家さん)が、客席が落ち着くのを待ってからしか、次の人のめくり(出演者の名前を書いたもの)を出しません。
しかも、出囃子の方からも客席が見えるようになっており、客席が落ち着いていないと出囃子の演奏を始めないようになっています!
メインの出演者だけではなく、関わる人すべてが寄席全体の空気を読みながら進行しているのも魅力的ですよね!
なので、前座さんや出囃子さんが困らないように配慮するのも見る側の粋なマナー!
落語オタクが伝授!寄席の楽しみ方
まず、落語に触れたことのない方は、「好きな落語家」か「好きなネタ」を見つけましょう!
現代のお笑いでは同じネタをいろいろな芸人さんがやるなんて考えられませんよね。
けれど落語は、(新作と言われるものを除いて)江戸や明治からつづく話を、いろんな落語家さんが演じながらうけつがれてきたものなのです。
なので、好きな落語家さんだけでなく好きなネタもできてくるはず!
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それを見つけるには、1日に何組もの落語家さんが入れ替わり立ち替わり登場して、いろんなネタが見られる寄席が最適!
寄席の楽屋には、その日、誰がどんなネタをやったかが書かれている「根多帳」というものがあって、落語家さんは出番前にそれを確認して、1日に同じ話が2回出てこないようにしているのです!
それが見つかったら、好きな落語家さんの他のネタ、好きなネタを別の落語家さんが演っているものを探してみましょう!
探し方は、寄席に通うのはもちろん、自宅でゴロゴロしながらでも可能!
出典:YouTube
実は、「おうち時間」が広まって以降、公演の様子を生配信している寄席があるのです。
しかも無料なので、まずはそこで雰囲気を疑似体験して見るのもアリかも!
出典:Spotify
他には、Apple MusicやSpotifyなどのサブスクでも、多くの落語が配信されています!
サブスクでは、現役だけではなく既に亡くなってしまった昭和や平成の「名人」と呼ばれた落語家さんの音源も聞けます!
ダウンタウンの松本さんをはじめ、現代の芸人さんが「お笑いは緊張の緩和」と言っているのを聞いたことはありませんか?
これは、昭和から平成の初めにかけて活躍した桂枝雀という落語家さんの言葉なんです。
過去の名人の芸は、現代にも繋がっているんですね!
他にも、DVDのレンタルなどにも落語はたくさん並んでいますし、個人でYoutubeチャンネルを持っている落語家さんもいます。
そうしたところから、お気に入りを見つけて寄席に通うの、いい趣味だと思いませんか??
まとめ
東京の各地で毎日開催されているのに、意識しなければ触れることのない寄席の文化。
思い立ったらその日に見に行けるのは、東京ならではせっかくそんな環境があるなら、楽しまない手はありません!
サブスクでは、現役だけではなく既に亡くなってしまった昭和や平成の「名人」と呼ばれた落語家さんの音源も聞けます!
ここでは語りきれませんが、落語は笑える話だけではなく、泣ける話やタメになる話もたくさんあります。奥深い!!
意外にも手軽に楽しめる寄席、遊びに行ってみてはいかがでしょうか?