コロナ禍でどこか遠いもののようになってしまった“旅をする”という日常。

観光業界は、文字通り「壊滅状態」となっていると言えるだろう。

そんな中、東京有数の観光地でもある浅草にて車夫として活躍する三浦翔平さんが始めた「オンライン人力車」は、まさに新たな試みであり、評判も上々とのこと。

オンライン人力車のことや今後のビジョンについて、ライターの竹治が三浦さんへインタビューしてきました。

最大で5万いいねも!
オンライン人力車のきっかけって??

福ろう屋/三浦翔平さん

1993年 北海道函館市生まれ。東京浅草にて俥夫として活躍。
コロナ禍の中、日本初のオンライン人力車を発案。
どこからでも観光気分を味わえると評判を呼んでいる。

三浦さんのX(旧twitter)

オンライン人力車はいつ頃から始められたのですか?

ご想像通り、コロナ禍がきっかけですね。

4月ごろにスタートしたんですけど、その頃の浅草は、まぁ、壊滅的というか、あれだけ観光で賑わっていたのにゴーストタウンさながら。

収入がゼロになってしまってどうしようかと思いましたよ。

ご、ご察しします。

コロナ禍で観光業はすごくダメージを受けましたよね。

ルッチも取材等が全然できなくなってしまっていました。

やっぱそうなんですね。

オンライン人力車はZoomを使った飲み会からヒントを得たんですよ。

お客さんが来ないなら、家にいながら笑顔にできるサービスを作れたら世の中に貢献できるな、と思って始めたのがスタートなんです。

家に居ながら浅草観光を楽しめるって、新鮮だなぁと思いました!

最初はお客さんなしのオンライン配信で試してみて、

その後は友達にオンライン上でモニターしてもらいながら、ひたすらサービス改善に務めてましたね。

新しいサービスのスタートって、大変ですよね…。

集客はどうしたんですか?宣伝とかしたんですか??

いや、何もしてないんです。

オンライン人力車をやってるところを浅草の町の人がツイッターで挙げたのがきっかけですね。

それもなんか、お客じゃなくパソコンを乗っけて人力車引いている奴がいるみたいな感じで、ちょっと面白おかしくアップしてたんです(笑)。

た、確かに知らない人が見たらちょっと怪しいのかも!?

そのSNSがだんだん拡散していって、最終的に5万いいねくらいついたんですよ。

そうしたら取材が増え、わずか2日間で一気に700件くらい予約が入ったんです。SNSすげーっ!!!てなりましたよね(笑)。

それが8月の頭のことで、そっから人力車を休みなく引きまくりました。真夏だったからぶっ倒れそうになりましたよ!

オンライン人力車を実際に体験してみた!

じつは、インタビュー前にオンライン人力車がどんな感じか?実際に体験させていただきました。

その様子をご覧ください!では、三浦さんよろしくおねがいいたします。

ライター・編集部4人で参加したオンライン人力車

はい!!

まずはこんな感じで、オンライン会議アプリ「Zoom」を介します。

なるほど。

そうしたら出発しましょう!

これ、ハタから見ると、僕がひとりで喋ってるだけになっちゃうんで、ちょっと恥ずかしいときもあるんですよ。

だからみなさんの笑い声僕のパワーになるんです。ついて来てくださいね!!

努力します(笑)。

こちらは定番中の定番、浅草寺の雷門です!

夜の浅草って新鮮ですね。

昼とは違った雰囲気で良いですよね。

続いてはスカイツリーです!

こんな感じで定番のコースはあるんですけど、お客様の希望によってあちこち回らせていただいてますね。

で、時たまお客さんが飽きないように豆知識を紹介したりクイズを出したり、浅草ならではの名所見所のガイドをお送りしてます〜!

全部で何分くらいですか?

今は大体一時間くらい。1日2便を週3日でやってます。

オンライン乗車してくれた方が後日実際に乗ってくれたことがあって、その時はうれしかったですね。

目指せ100人乗り!コロナ禍で変わる観光の未来!

オンライン人力車思った以上に楽しかったです。

浅草に行ったかのような旅行気分を味わえました! お客さんはどういった反応ですか?

思った以上に反響があって、実は僕も驚いています。

日本だけじゃなくて、タイアメリカなどから参加した人もいて、お客さんからの反響は概ね好評でうれしい限りです。

というと?

例えば、タイのタオ島の住人が自分の家のプールに入りながら、オンライン観光したり、彼女がアメリカ、彼氏が日本にいながらの遠恋リモートデートだったり。

他には駐在妻の集まりで30人くらいのガイドをしたこともありますね。

リアルは2人までだけど、100人とか乗れるのはオンラインならではですよね(笑)。

人によって使うときのシチュエーションが全く違うんですね。

ただ100人乗っちゃうと、人力車の醍醐味でもあるお客さんと会話がなくなってしまうので、今は余程のリクエストがない限り参加人数は最大5名までにしています。

ギフトにも良さそうです!

そうなんです。あと、旅行好きだけでなく、足が悪くて遠出ができないといった方へのニーズも絶対需要があるはずなんで、そういう人たちにこそ、乗ってもらって元気を与えたいんですよね!

観光のイメージが変わっていきそう…。

乗車中に紹介したお店の商品をECサイトで購入できるようにするなど、オンライン人力車ならではの可能性はあるなと実感しています。

今後は海外の旅行ツアー会社と提携して、いろいろ面白い企画を実現させるつもりです。

そんな感じで夢は膨らみますが、でもまぁその前に浅草への恩返しが最優先。

浅草の魅力を余すことなく届けていきたいですね!

まとめ

観光の未来を変えていく可能性を秘めた「オンライン人力車」。大きなダメージを受けている観光業を変える新たなサービス業として非常に注目を集めています。

おひとり様だけでなく家族や友人と、お互いの距離関係なく共有できるのが魅力。画面越しのコミュニケーションではあるものの、実際の人力車と変わらないコミュニケーションが楽しめますよ。

気軽に会話を楽しみながら浅草の歴史や魅力に触れて見てはいかがでしょうか。

〈取材・文=竹治昭宏/編集=じんろう/撮影=ゆうこば〉

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