今年話題になっている「スーパーシティ」をご存知ですか?
2020年5月、国会で「国家戦略特別区域法の一部を改正する法律案」、いわゆる「スーパーシティ法案」が成立し、各メディアでも取り上げられました。
「スーパーシティ」とは、新たな街のあり方。
「スーパーシティ」が実現すれば、担い手不足や、地域格差、そして、今の新型コロナウィルス感染拡大による生活の制限など、日本が抱える様々な問題を解消できると言われています。
本当に、そんな理想的な街が実現するんでしょうか?
今回「スーパーシティ構想」の発案者である片山さつき参議院議員(元内閣府特命担当大臣)にインタビューさせていただきました。
目次
「スーパーシティ構想」って何?
行政手続きはもちろん、エネルギーの管理や医療、教育、介護、防災・防犯など、私たちの日々の暮らしを、住民目線で便利な方向に変えて行こうという課題解決アプローチです。
最近、菅総理も問題にしていますが、今はあらゆる行政手続きが面倒ですよね。
役所に手続きに行っても、縦割りで、いろいろな部署を回らないといけない…など。
特に今回の新型コロナウィルス対策の特別定額給付金は、皆さんの手元に届くまで「時間がかかりすぎ」という批判がありました。
もし行政の情報がコンピュータで一元管理されていたら、役所の人達もスムーズに業務ができ、住民は自宅からスマホやPCで簡単に申請の手続きができて、助成金もすぐにもらえたでしょう。
他にはどんなメリットがありますか?
近年は、毎年のように豪雨災害が起きています。
もし大雨が降って、近所の川の水位の変化を細かく計測できれば「〇〇分後に、川が氾濫する可能性があるので逃げてください。」と警告を出すことができるかもしれない。
コロナ禍で進んだスーパーシティの必要性
実はコロナ禍前に、「GIGAスクール構想」という、小学校の児童、中学校の生徒1人にタブレットやPC1台を渡し、学校に高速大容量の通信ネットワークを整備するプロジェクトが検討され、予算の検討も行われていました。
新型コロナウィルスの感染が拡大したことで、前倒しで実施されましたが、実際には全国の公立小中学校に行き渡りませんでした。
もっと早く計画が進んでいたら、オンライン授業もスムーズにできて、コロナ禍の教育状況も変わっていたでしょう。
日本人は英語の読み書きはできますが、聞く喋るができないんですよ。喋るとか聞くっていうのは、何度も実践しないと身につきません。
そこで、AIの教育プログラムを活用し、「この子は、ここが聞き取れない。」など児童それぞれの苦手分野がわかれば、生徒に即した英語学習プログラムを提供できるでしょう。
今までは反対の声もあり、進まなかったオンライン診療ですが、新型コロナウィルスの感染リスクを考慮した結果、一気に広まりました。
オンラインで診療ができれば、病院を予約したり、診療室で待つ時間が省け、忙しい人が時間を取られる必要がなくなりますよね。
規制が緩和され、レベル4(一定の区域であれば無人運転が可能)の自動運転が実現すれば、乗客の利用率をAIが学習して時刻表を改善、混雑する時間帯に本数を増やし、ガラガラの時間帯には運行を取りやめることもできます。
また利用者に合わせて、停留所のないところで停止することも可能です。
そのデータ基盤の設計費用を国が負担し、スーパーシティを実現するための候補地を全国から募集し、多くの応募がありました。
あくまでも住民主体の取り組みなので、候補地に応募する自治体には、「必ず住民の同意を得てください」と言っています。
東京におけるスーパーシティのメリット
例えば、病院の空床状況がわかれば、現在のコロナ禍のような事態や、大災害により多くのけが人が出た場合、患者の入院先の割り振りをスムーズにできる。
また、「今はどの地域が過密状態か」がわかれば、買い物や観光地の選択の参考になるのではないでしょうか。
東京は独居老人が多いんです。特に独居老人の多い多摩地区の団地などでは、スマートシティは必要となるでしょう。
もし区や市が子供の見守りの役目をになってくれるのであれば、もし保育園に預けている子供が熱をだしても、お母さんはすぐに仕事場から抜け出して子供を迎えにいく必要がなくなるかもしれません。
あとは、今アレルギーの子供が多いですよね。子供のアレルギー情報を、学校や病院などの関係機関に共有しておけば、間違ってアレルギーの出る食べ物が提供されることを防ぐことになるでしょう。
都会はゴミが多く、そのゴミをカラスが突っついて散らかしてしまうという問題がありますよね。
そこで、カラスがいつ、どういう時間帯に現れるのかを観測してデータ化し、ゴミを出す時間帯やごみ収集に最適な時間帯を割り出すことで、よりクリーンな街が実現します。
スーパーシティと個人情報・データ管理
例えば、すでにスマートシティを実践している自治体では、お年寄りの健康データを取得する際、本人の同意を得ていますが。多くの方が同意をします。
それは、自分で健康管理をすることが難しくなるお年寄りにとって、身体の状態を人に知ってもらうことの方が、健康を守ることにつながるからです。
そして、もしスーパーシティが他の都市でも実現可能ということでになれば、一度作り上げたシステムを流用していけばよいのです。
スーパーシティが育てる人と技術
しかし、日本のシステムエンジニアは、冷遇されている部分もあり、良いお給料をもらえていないので、待遇から改善したいと思っています。
今の子供たちって、家族問題を抱えている子も多いし、子供たちの周りにはいろいろな危険もありますよね。
生徒に寄り添って悩みを聞けるのは、人間だけなんですよ。
オランダでは、介護をとても科学的に行っていて、科学的に作った介護プランでは「70%のお年寄りの体力・知力の劣化を止める、もしくは向上させる」という結果が出ているんです。
人間がマニュアルで取り組むより、データを活用する方が効率的で、結果も出せるということです。
スーパーシティが実現する未来に向けて
そして、そのためのセキュリティについても勉強しておくことです。怪しいメールは開けない、少しでも疑問に感じるようなショッピングサイトは利用しないなど。
片山さん、お話し有難うございました!
片山さつき議員の著書「社会課題を克服する未来のまちづくり スーパーシティ」発売中!