フランス映画祭2017|全11作品の見どころ徹底解説【前編】

 2017/06/20 イベント

フランス映画祭ヘッダー
2017年の今年、第25回という節目の年を迎える「フランス映画祭」。

Catherine Deneuve
(c) Patrick Swirc / modds

なんと団長は世界的大女優カトリーヌ・ドヌーヴさん、親善大使にはフランスと親交の深い北野武さんを迎えることになりました。

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今回はフランス映画祭特集前編とし、上映される作品を11本全て紹介!映画コミュニケータの杉本結作品の魅力や見逃してはいけない見どころを徹底解説いたします!他にも映画祭の作品の選び方のポイントも一緒にナビゲートしますよ。杉本結のオススメ度合も★で表しているので、参考にしてみてください。

北野武さんなどが登場する、オープニングセレモニーの情報などは後編でお伝えします。

フランス映画祭とは

フランス映画祭は今回で25年目を迎える映画祭です。今年の映画祭では様々な「女性」が見られるのが特徴となっています。謎めいた女性、純粋な女性、強い女性、傷つき戦う女性……。

フランス映画祭で上映する作品は、どれも劇場公開が決まっている作品です。誰よりも早く鑑賞できる事が魅力の一つ。また、多くの監督達が来日してトークショーしてくれるのでこの機会に作品の裏話が聞けるかもしれないですね。

そしてフランス映画祭は東京だけではなく関西でも大阪、京都で開催されます。

日程:東京 2017年6月22日(木)~25日(日)

   大阪 2017年7月1日(土)~7日(金)

   京都 2017年7月8日(土)~14日(金)

会場:東京 有楽町朝日ホール、TOHOシネマズ日劇

   大阪 シネ・ネーヴォ

   京都 京都シネマ

それでは、一つ一つの作品を詳しく紹介します!※作品の順番はフランス映画祭の上映順です。

The Midwife(原題)

フランス2017アイキャッチ
© photo Michael Crotto

<ストーリー>

フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴと、『大統領の料理人』(12)他で知られ、『偉大なるマルグリット』(15)でセザール賞主演女優賞を受賞したカトリーヌ・フロの豪華競演作!

実直な性格の助産師・クレールは、亡き父親の元妻で30年間姿を消していたべアトリス(カトリーヌ・ドヌーヴ)からの電話を受け、重要で急を要する知らせがあるので会いたいとせがまれる。真面目すぎるクレールと自由奔放なべアトリス。正反対の性格の二人だったが、お互いの古い秘密が明らかになるにつれ、失われた年月が埋まっていく。べアトリスが余命僅かであることが判明し、クレールは彼女の介護をすることに。やがて、家族としての絆が生まれる――。
出典:フランス映画祭2017公式HP

<レビュー>

「生命の奇跡と美しい去り方」オススメ度★★★★★

さすがオープニング作品に選ばれただけのことはある納得の満足度。クレーヌを追いかけているかのようなカメラワークからみる医療現場はすごく丁寧かつリアルに描かれている。たとえば日常のなにげない行動の中に爪を短く切るシーンがある。なくても映画は成り立つだろう。だけどこのシーンがあることで助産師としての彼女の優しさや日頃からのプロフェッショナルな仕事ぶり、妊婦や家族、仲間からの信頼のあつさを表現できるだろう。そういった細かな演出の連続が作品を面白く魅力的な物にしている。医療業界にいた人間としても医療あるあるが随所につまっていてそこもマニアックではあるが楽しめるポイントの一つになった。

<ポイント>

注目度も高く有名な俳優が出演している作品が選ばれることが多い、オープニング作品。

オープニング作品を鑑賞予定の人は、前売り発売日当日に購入がベターです!

生命の神秘に立ち会いたい人、医療従事者にオススメ!

<公開日>

2017年12月からシネスイッチ銀座ほか公開。

エル ELLE

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© 2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINÉMA – ENTRE CHIEN ET LOUP

<ストーリー>

自宅で覆面の男に襲われたゲーム会社の女社長が、自ら犯人をあぶり出すために恐るべき罠を仕掛けていく。彼女は強靭な精神力と、妖艶な魅力を放つ大人の女性だ。だが、事件の真相に迫るに従い、観客は衝撃の連打を浴びる。この女、いったい何者!?彼女こそが、犯人よりも遥かに危ない存在だった。

世界を驚愕させたヒロインを演じるのは、フランスの至宝にして年を重ねる度に魅力を増すイザベル・ユペール。監督は『氷の微笑』のポール・ヴァーホーヴェン。原作はラブストーリーの金字塔『ベティ・ブルー/愛と激情の日々』のフィリップ・ディジャン。刺激的でアブノーマルな才能が互いを高め合い、気品あふれる変態ムービーにして、異色のサスペンスが誕生した!
出典:フランス映画祭2017公式HP

2.Elle
© 2015 SBS PRODUCTIONS – SBS FILMS– TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION – FRANCE 2 CINÉMA – ENTRE CHIEN ET LOUP

<レビュー>

「エルは彼女という意味です」オススメ度★★★★★

始まった直後に突然頭を殴られたような感覚になるほどの衝撃が待ち構えている。そして、次はびっくりしないぞと身構えながら少しずつ少しずつ作品の奥深いところへ誘われいく。彼女の言動は正直どうやっても理解できなかった。私が驚いたのは様々な彼女の抱える問題をカミングアウトするタイミングだ。他の映画では見たことのないような少し気を緩めた緊迫感のない場面を一変させることへの衝撃!サスペンス、ミステリー、ホラージャンル分け不能な問題作が現われた……。

<ポイント>

2017年 アカデミー賞 主演女優賞ノミネート。

2017年 ゴールデン・グローブ賞 主演女優賞(ドラマ部門)、外国語映画賞受賞。

やはりアカデミーに絡んだ作品の人気は注目度も高くなります。今回も売り切れるのが早かったです。

注目作品は迷わず前売り発売日に購入しましょう!

<公開日>

2017年8月25日(金)からTOHOシネマズ シャンテ他全国順次公開。

ロダン カミーユと永遠のアトリエ

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©Les Films du Lendemain / Shanna Besson

<ストーリー>

今年11月に没後100年を迎える、“近代彫刻の巨匠”オーギュスト・ロダン(1840~1917)。「地獄の門」や、その一部を抜き出した「考える人」で高名な芸術家である。彼は42歳の時、弟子入りを切望するカミーユ・クローデルと出会い、この若き才能と魅力に夢中になる。本作はロダン没後100年を記念し、パリ・ロダン美術館全面協力のもと、『ポネット』(’96)の名匠ジャック・ドワイヨンが、ロダンの愛と苦悩に満ちた半生を忠実に描いた力作である。『ティエリー・トグルドーの憂鬱』(15)でカンヌ国際映画祭、セザール賞の主演男優賞をW受賞したフランスきっての演技派ヴァンサン・ランドンが、8カ月間に渡り彫刻とデッサンに没頭し、ロダンの魂までも熱演していると早くから話題に。また“ジャニス・ジョプリンの再来”と呼ばれる歌手で女優のイジア・イジュランがカミーユ・クローデルを好演。
出典:フランス映画祭2017公式HP

<レビュー>

「信じた道を貫き通す強さ」オススメ度★★★☆☆

芸術家の人生は波瀾万丈だ。代表作である「地獄の門」「考える人」は知ってるものの作者であるロダンについては何も知らない状態で鑑賞した。専門的すぎてハードルの高い映画になっていないか心配だったが、スクリーンにみたロダンは自分が生きるその一瞬一瞬を丁寧にきりとり形にする人であった。劇中でも「人の意見など気にせず作り続けろ」という台詞がありまさにその通りの人物であった。今回のフランス映画祭の中で「セザンヌ」という芸術家の作品も上映するのだが、この作品の中で一瞬登場するシーンがあった。同じ時代に生きた芸術家同士だと思うと生き方に少し共通点がみつかりおもしろい。

そしてロダンの作品に興味をもったら日本でも見ることが出来る場所があることを知った。没後100年にふさわしい作品であった。

<ポイント>

2017年カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。

芸術とよばれる作品が出来上がるまでの過程の目撃者になりたい人にオススメ!

<公開日>

2017年11月から新宿ピカデリーほか全国公開。

あさがくるまえに

9.Réparer les vivants
© Les Films Pelléas, Les Films du Bélier, Films Distribution / ReallyLikeFilms

<ストーリー>

ジャン・ヴィゴ賞受賞のデビュー作『聖少女アンナ』(10)、カンヌ映画祭批評家週間オープニング作品『スザンヌ』(13)に続く、気鋭の女性監督カテル・キレヴェレの最新作。
ル・アーブル。夜明け前、彼女がまだまどろみの中にいるベッドをそっと抜け出し、友人たちとサーフィンに出かけたシモン。しかし彼が再び彼女の元に戻ることはなかった。帰路、彼は交通事故に巻きこまれ、脳死と判定される。報せを受けた彼の両親は、その現実を受け止められない。医師はシモンが蘇生する可能性は低く、両親に移植を待つ患者のために臓器の提供を求めるのだが。その時間の猶予は限られている……。
パリ。音楽家のクレールは、自分の心臓が末期的症状であることを自覚している。彼女が生き延びるためには、心臓移植しか選択肢はない。しかし彼女は、他人の命と引き換えに若くない自分が延命する意味を自問自答している。そんな時、担当医からドナーが見つかったとの連絡が入る。
『預言者』のT・ラヒム、『毛皮のヴィーナス』のE・セニエ、『Mommy/マミー』のA・ドルヴァルら実力派キャストを迎えて描く、愛と喪失と再生の物語。
出典:フランス映画祭2017公式HP

<レビュー>

「24時間で迫られる選択」オススメ度★★★★☆

事故により脳死と判定された少年シモン。彼の臓器をドナーとして提供することを両親は認めるのか?この疑問の答えになる両親の話し合いの描写がなく、ガールフレンドとの出会いのフラッシュバックから読み取るという本当に新しい表現方法に驚いた。また、提供される相手もはっきりとわからないまま進むストーリーも面白く斬新な切り口。

フランスでは臓器提供しないと正式に宣言しなかった瞬間から、潜在的ドナー(ドナー候補者)となるということになっている。日本とは少し考え方が違うことを知っておくとよいだろう。

監督の言いたいことは目に見える形で表現されていなかったり、説明がないにも関わらず不思議と理解できている。

カテル・キレヴェレ監督は3作目の監督作品だが日本公開はこの作品が初めて。今後も目が離せない監督の一人だ。

<ポイント>

2016年 ヴェネツィア国際映画祭 オリゾンティ部門選出。

2016年 トロント国際映画祭 プラットフォーム部門選出。

新しい才能に出会いたいそんな人にお勧めしたい1本。

<公開日>

2017年9月16日(土)からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開。

セザンヌと過ごした時間

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© 2016 – G FILMS –PATHE – ORANGE STUDIO – FRANCE 2 CINEMA – UMEDIA – ALTER FILMS

<ストーリー>

ポスト印象派の巨匠セザンヌと『ナナ』『居酒屋』の文豪ゾラ。エクス=アン=プロヴァンスで出会い、幼いころから夢を語り合ったふたり。やがてゾラはパリに出て、新聞の評を書きながら小説家として成功を収める。一方、セザンヌも画家を目指してパリで絵を描き始め、サロンに挑むが落選続き。栄光を手にしたゾラと、心を閉ざしていくセザンヌ。そして、ゾラの別荘で久しぶりに再会したふたりは、「ある画家」をモデルにしたゾラの新作を巡って口論となる……。セザンヌ役は『不機嫌なママにメルシィ!』でセザール賞作品賞など主要5部門受賞のギョーム・ガリエンヌ。ゾラ役を『戦場のアリア』の実力派ギョーム・カネが熱演。長年の映画化の夢を膨大なリサーチによって叶えたダニエル・トンプソン監督最新作。セザンヌの縁の地で撮影を敢行、プロヴァンスの美しい光を捉え、名画の世界へと誘う。運命的な絆が生んだ、深い友情と創造の奇跡に心打たれる感動作。
出典:フランス映画祭2017公式HP

<レビュー>

「不器用な感情表現もほどほどに・・・」オススメ度★★☆☆☆

フランスの画家ポール・セザンヌとエミール・ゾラの男の屈折した友情を描いた作品。

この映画をみるにあたり、「絵画に詳しくないけど大丈夫かな?」そう思う人もいるでしょう。実際に美術館にいるのではないかと思うほどたくさんの絵画が作品のなかに登場する。それでも作品の柱になるのはどのシーンをきりとっても「2人の男の友情」これにつきる。貧乏だった少年セザンヌがブルジョワになり、ブルジョワとして生まれついた少年ゾラが人生に苦労するという皮肉めいた人生を歩む2人はお互いをどう思い生きていくのかが見所になる。どんなに複雑な感情のもつれも時間が解決し友情は消えないのだろう。

<ポイント>

男同士の友情が好きな人にお勧めの1本。

<公開日>

2017年9月からBunkamura・シネマ他全国順次公開

愛を綴る女

4.Mal de Pierres
© (2016) Les Productions du Trésor – Studiocanal – France 3 Cinéma – Lunanime – Pauline’s Angel – My Unity Production

<ストーリー>

フランス南部の小さな村で両親と妹と暮らすガブリエル。若くて美しい彼女はいつも、真実の愛、そして結婚について理想を思い描いていた。しかし現実は違い、両親は正直者で情の深いスペイン人労働者のジョゼとの結婚を決めてしまう。ジョゼは彼女に献身的に接するのだが、ガブリエルはジョゼを愛することは決してないと誓うのだった。ある日、持病の結石の治療のためアルプスの療養所に送られる。そこでインドシナ戦争で負傷した魅力的な帰還兵アンドレと出会う。それが彼女が紡ぐ愛の物語の始まりだった――。つかの間の日々に彼女が求めた愛の姿とは――。ミレーナ・アグスのベストセラー小説「祖母の手帖」(新潮社)をニコール・ガルシアが女性監督ならではの手腕で再構築。フランスが誇る国際派女優マリオン・コティヤールが、一人の女性が愛の真髄にたどりつくまでの17年間をストイックかつエロティックに演じた、繊細で美しい大人のラブストーリー。
出典:フランス映画祭2017公式HP

<レビュー>

「愛情表現は全部違ってそれでいい」オススメ度★★★★☆

最近話題作への出演が続くマリオンコティヤール。今回はなかなか彼女の笑顔を見ることが出来ない。スクリーンに映し出される景色もどんよりとした曇り空ばかり。しまいには雨が降り出す。劇中の彼女の心情を天候が表している。愛していない相手との結婚は不幸なのか?ガブリエル、ホセ、アンドレの三人が全く違った愛の形をみせてくれる。情熱的でエロチックそして時には優しく、静かな愛が作品を包み込む。

<ポイント>

2016年 カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品作品。

2017年 セザール賞 作品賞ほか8部門ノミネート。

マリオンコティヤールの出演作は良作が多くフランス映画らしいラブストリーを味わうならこれ!

<公開日>

2017年10月7日(土)から新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開。

夜明けの祈り

7.Les Innocentes
© 2015 MANDARIN CINÉMA AEROPLAN FILM / ANNA WLOCH

<ストーリー>

1945年12月のポーランド。赤十字で医療活動を行う若きフランス人医師マチルドのもとに、悲痛な面持ちで助けを求めるシスターがやってくる。修道院を訪れたマチルドが目の当たりにしたのは、ソ連兵の蛮行によって身ごもり、信仰と現実の狭間で苦しむ7人の修道女だった。そこにある命を救う使命感に駆られたマチルドは、幾多の困難に直面しながらも激務の合間を縫って修道院に通い、孤立した彼女たちの唯一の希望となっていく……。
『ボヴァリー夫人とパン屋』のアンヌ・フォンテーヌ監督の最新作は、第二次世界大戦末期の悲劇的な事件によって心身共に傷ついた修道女を救うために尽力した、医師マドレーヌ・ポーリアックの実話の映画化。自らの危険を顧みず、無償の人道支援に身を投じたヒロインの勇気ある行動は、世界中に不寛容の風潮が広まる現代において崇高なる感動を呼び起こす。
出典:フランス映画祭2017公式HP

<レビュー>

「守るべきは尊き命」オススメ度★★★☆☆

ソ連兵に無理矢理襲われて身ごもってしまった修道女達がひっそりと生活している修道院。中絶なんて出来ない時代。どうすることも出来ずに時が過ぎるとともに大きくなるお腹と大きくなる不安。若きシスターがやっとの思いで医師を連れてくるが、信仰の為にまともな診察すら出来ない状況が歯がゆい。それでも子供は待ってくれない。雪が降り積もる森の中を歩きみつける答えとは……守るべきは一体何なのか?

女性による静かな力強さを感じる作品だ。

<ポイント>

2017年 セザール賞 4部門ノミネート。

感動の実話が好きな人にお勧め!

<公開日>

2017年8月5日(土)から新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開。

パリは今夜も開演中

Ouvert la nuit, un film écrit et réalisé par Edouard Baer. Avec Edouard Baer (Luigi), Audrey Tautou (Nawel), Sabrina Ouazani (Faîza), Jean-Michel Lahmi (Théo Sarapos), Lionel Abelanski (Lolo), Atmen Kelif (Kamel), Grégory Gadebois (Marcel), Christop
© Pascal Chantier

<ストーリー>

劇場支配人のルイジは、高名な日本人演出家ダザイを迎えた舞台の初日を前にして苦境に立たされる。一晩のうちに必要な資金を確保するため、そして舞台に登場するチンパンジーを確保するため、インターンの若い女性を伴って街に出てゆくルイジ。そんな彼を予期せぬ出来事が次々と襲う……。『チキンとプラム』等に出演したコメディ俳優エドゥアール・ベールが監督・脚本・主演を兼ねた作品。行き当たりばったりを繰り返す気ままな主人公の行動に伴って夜のパリの様々な風景が描かれる。アブデラティフ・ケシシュ監督の『身をかわして』で鮮烈なデビューを飾ったサブリナ・ウアザニ、『アメリ』のオドレイ・トトゥが主人公に振り回される二人の女性を演じ、『沈黙-サイレンス-』の演技も記憶に新しいパリ在住の名優・笈田ヨシがダザイ役を怪演する。また昨年惜しくもなくなったベテラン俳優ミシェル・ガラブリュが本人役でカメオ出演しているのも見逃せない。
出典:フランス映画祭2017公式HP

<レビュー>

「ルイジに振り回される97分」オススメ度★★★☆☆

配給が決まっていない作品の人気は映画祭では高くなる。今回はオドレイ・トトゥが出演しているのでなおさらだ。支配人のルイジの話を常にしているのにその本人がなかなか登場しないのでもしかしてこれ「桐島、部活やめるってよ」の再来?と思ったのもつかの間、本人登場。なんだ違ったのか。なんとも不思議な、つかみ所の無い男ルイジのへんてこりんな行動を共にする一夜。この作品でフランスの現在の結婚事情がよくわかる。

フランスでは3つの結婚の形があり法的にも結婚も入籍もしない事実婚(フランス婚)、結婚よりも法的制約が少ないがパートナーとして優遇が受けられる連帯市民協約パックス(パックス婚)、結婚がある。最近生まれた子供の約半数が籍を入れていない両親から生まれているらしい。

フランスってどんな国か知ることもできる作品。

<ポイント>

日本公開未定。

今回のフランス映画祭で唯一配給が決まっていない作品。つまりここでみないともう見れない作品!

ここでしかみれない作品も人気が高くなるのでチケット入手はお早めに!!

エタニティ 永遠の花たちへ

3.Éternité
© Nord-Ouest

<ストーリー>

『ノルウェイの森』から6年、『青いパパイヤの香り』(’93)のトラン・アン・ユン監督の真骨頂にして待望の新作。19世紀末、フランス。ブルジョワの娘ヴァランティーヌは20歳で結婚し、双子の男の子を筆頭に、4人の男児、2人の女児を授かる。しかし、幸せな結婚生活は、20年連れ添った夫の死、双子の戦死、そして2人の娘たちを相次いで手放すことで崩れていく。失意の彼女を救ったのは、息子アンリと幼馴染マチルドの結婚だった。彼女は最愛の妻となり、子供たちに愛される母親、そしてヴァランティーヌの大切な娘となる。しかし、マチルドにもある運命が待ち受けていた。生まれて、出会って、愛して、別れて……3世代の女性たちによって、100年にわたって母から娘へ受け継がれる絆は、やがて大家族を形成していくのだが……。フランスを代表する3女優、オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョが強く美しく生きる女性たちを演じ、観る者を生きる歓びと愛に包みこむ感動作。
出典:フランス映画祭2017公式HP

<レビュー>

「未来へおくりたい言葉を考える」オススメ度★★★☆☆

本作をみる前に知っておいて欲しいことが2点ある。

1つ目は「母から娘へ、その子供達へ」と19世紀末フランスを舞台にある一つの家族の出会いと別れの物語であるということを知って鑑賞するとみやすくなるだろう。

2つ目は「ナレーションをしている人物はだれなのか?」という疑問をもって鑑賞して欲しい。おそらく予想しながらみてあれ?っと何度も予想が外れる展開になるはず。ですが作品のラストにやっと回収できたときにすっきりとした気持ちになれること間違いなし!!

そして本当に台詞の少ない作品でピアノやギターの音で感情が表現され時間は過ぎていく。美しい庭園に子供達と囲まれて過ごす日々が優雅で幸せの象徴のように感じることもあれば悲しみに包まれる日もある。

幸せは人によって違う。それを3世代の女性とその家族一人一人の選択により多方面から見せてくれる。気づけばすすり泣く人続出。今ある幸せを大切にしようと感じる作品。

<ポイント>

美しい庭園に幸せな家族、メッセージ性の強い感動作が見たい人におすすめ。

<公開日>

2017年秋にシネマスイッチ銀座ほかにて公開。

ポリーナ、私を踊る

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© Carole Bethuel – Everybody on Deck

<ストーリー>

ボリショイ・バレエ団のバレリーナを目指すロシア人の女の子ポリーナは、厳格な恩師ボジンスキーのもとで幼少の頃から鍛えられ、将来有望なバレリーナへと成長していく。かの有名なボリショイ・バレエ団への入団を目前にしたある日、コンテンポラリーダンスと出会い、全てを投げうってフランスのコンテンポラリーダンスカンパニー行きを決める。新天地で新たに挑戦するなか、練習中に足に怪我を負い彼女が描く夢が狂い始めていく。ダンスを通して喜びや悲しみ、成功と挫折を味わい成長していく少女。彼女が見つけた自分らしい生き方とは……。
原作は、BD書店賞とACBD批評賞を受賞しているバスティアン・ヴィヴェスのグラフィックノベル。ポリーナ役には本作で映画初出演となるアナスタシア・シェフツォワ、コンテンポラリーダンスカンパニーの振付家の役にジュリエット・ビノシュ、さらにパリ・オペラ座エトワールのジェレミー・ベランガールらが出演。
出典:フランス映画祭2017公式HP

<レビュー>

「少女の繊細な心にズキュン」オススメ度★★★☆☆

親の期待に応えようとバレーをしているポリーナ。複雑な家庭から自分の世界を作り上げていこうと悪戦苦闘するが、人生うまくいくことばかりではない。ダンサーは踊れて当たり前。それ以上の感情表現がプロの世界では求められるがポリーナはなかなか感情を表に出し切れない。「周りをよく見て、広い視野でみるのもアーティストよ」という台詞が印象的だった。

父親と狩りに行くシーンでは彼女にしかみえていないであろう「鹿」に出会う。「鹿」は仲間を表し、もっと周囲の人を信頼してみよう。などという意味の象徴で用いられることが多い。そのことを知って見ると映画を理解するのに少し役にたつかもしれない。

ラストのダンスは美しくて大きなスクリーンでみるべき。

<ポイント>

一人の少女が女性へと成長した先に何があるか知りたい人にオススメ!

<公開日>

2017年10月28日(土)からヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開。

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12. Grave
©DR

<ストーリー>

16歳のジュスティーヌはベジタリアンの獣医一家に育ち、姉も通う獣医学校に進学する。しかし、恒例の「新入生いじめ」で、上級生から生肉を食べることを強要され、人生で初めて肉を口にすることに。これを機にジュスティーヌの本性が露わになり、彼女は次第に変貌をとげていく。そして猟奇的な事件が次々に起こるように……。
2016年のカンヌ国際映画祭批評家週間で上映されたのち、各地の映画祭で多くの賞を受賞。あまりにグロテスクなシーンに失神者や吐き気を催す観客が続出する一方、青春ドラマとしての一面も持ち、高い評価を受けている。ジュリア・デュクルノー監督衝撃の長編デビュー作。
出典:フランス映画祭2017公式HP

<レビュー>

「もうやめてと叫びたい!」オススメ度★★★☆☆

ここまで見に行く足取りが重くなった作品はなかなかない。広告をみれば失神者や吐き気を催す観客が続出したと書いてある。かなり警戒していたからなのかそこまでの状況にはならなかった。ただなんともリアルでグロイシーンが何度も何度も出てくる。序盤はただの青春ムービーだが突然状況は一転しサイコホラーに早変わり!

衝撃のラストまで休憩する時間はありません。

<ポイント>

2016年 トロント国際映画祭 ピープルズ・チョイス・アウォード 3位。

2017年 ジュラルメ国際ファンタスティカ映画祭 グランプリ・批評家賞受賞。

サイコホラー好きにはたまらない1本になるはず。

<公開日>

2018年公開予定。

まとめ

フランス映画祭ヘッダー
フランス映画祭で上映される全作品紹介いかがでしたでしょうか?

伝記や実話からラブストーリー、ホラーまで幅広いラインナップをしていますね。

ほとんどが劇場公開もされる作品なので、ここでみれなくても順次劇場で見られるのが他の映画祭と違う点です。

映画祭ならではといったら、フランス映画祭に合わせて監督やキャストが来日して上映前後にはトークショーがあります。そこでしか聞けない話もきっとあるはず!

貴重な機会なので是非映画祭に足を運んでみてください!

開会式の様子は後編へ続く・・・。

※「価格が違っている」「閉店している」等、記載内容の間違いが見つかりましたら『 記事修正リクエスト 』よりご連絡ください。

ライター紹介 ライター一覧

杉本結

杉本結

好きなことは全部したい。映画を通じたコミュニケーションのとりかたを様々な形で考えています。女性は常にキラキラしていてほしい。ボディージュエリーの講師の資格持ってます。本業は臨床検査技師。様々な資格や業界の視点を活かしたライター業もしています。

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